強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「これが鍵。下のコンシェルジュには伝えてあるし、特に困ることはないと思うけど、俺のいないときに何かあれば、コンシェルジュに聞いて。あと、基本買い物はこれで」
そう言って差し出された、家の鍵とクレジットカードを見つめた。
「あと、現金も必要だと思うから……」
財布を出そうとした翔太郎を、私は慌てて制止した。

「あの、私達結婚したと言っても、契約だし、いつまで続くかもわからないし、これは受け取れません」
真っすぐに言った私に、翔太郎は驚いた表情を見せた。

「いらない?」

「はい。こんな素敵な所に住まわせて頂いてるだけで申し訳ないです。私にはたぶん半分の家賃も払う事は出来ないので……」

「そんなもの必要ない」

そう言うとは思ったけど……。これ以上いろいろな事をしてもらう事はできない。
所詮他人だしね。

「そう言って頂けるのなら、家賃、光熱費はお願いしますので、食費や自分に掛かる費用はきちんと自分でします」
当たり前の事を言っただけなので、納得ができない翔太郎の事は他っておくことにして、私はまた立ち上がった。


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