強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「私達もなんとか優里香がこんな政略結婚じゃなく、相手の人と知り合って、お互いに好意なんかを持ってくれたらな………なんて思って同じ会社を進めたけど出会えなかったわよね?」
お母さんのその言葉に、私は驚いて顔を上げた。
「どういうこと?」
「相手の翔太郎さん同じ会社なのよ」
翔太郎……さん?
何て和風の名前……。さっき名前なんてスルーしてたよ。

あんなに必死にあの会社を薦めたわけがようやくわかった事と、相手が社内にいたことに、私は驚きを隠せなかった。

「それなら、始めに紹介なりしてくれればよかったじゃない!」
もっともな私の意見に、両親達は顔を見合わせて、「だってご先祖様の指示が……」とかなんとかをぶつぶつ言い続けている。

あー、もう!
それにしても、翔太郎なんていうおじさんいたっけ?
下の名前なんて、あんな何千人もいる会社で覚えている人のが少ないよね……。

というか、名前すら知らないんだから、もちろん出会ってなんかないよね。

そこまで考えて、私は大きくため息をついた。
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