強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「お仕事まだあるんですよね?私の事はきにせず続けて下さい。私も自由にさせてもらうので」
「すまない。ありがとう」
素直にお礼を言われ、私は慌てて首を振った。

調子が狂うよ……。
仕事をしていないときは、私をからかってイジメてばかりなのに……。

私は小さくため息をつくと、持ってきた小さなカバンに財布と携帯ともらったばかりの鍵を入れて、そっと家を出た。

目の前のエレベーターホールにはもちろん誰もいる訳もなく、ここが私と翔太郎だけしかいないという事が不思議で仕方なかった。

まだ、昼前の明るい東京の街をぼんやりと眺めながら1階へ降りると、スーパーを探しながら歩くつもりだった。

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