強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「清水様、お出かけですか?」
いきなり「清水」と名前を呼ばれて、私は誰のことかわからず慌てて周りを見渡した。
「失礼しました。優里香様の方が分かりやすいですね?」
清水って……私の事か?!
自分の事だとわかり、シックなブラックのデスクにいる、コンシェルジュの男性に頭を下げた。
「スーパーに行きたいなと思ったんです。まだ地理が全然わからなくて」
私をコンシェルジュの彼にどういう風に、翔太郎が伝えてあるのかわからず、私は当たり障りのない会話をすることにした。