強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「ああ、それでしたらエレベーターで地下1階へどうぞ。いいお品が揃ってます」

完璧な笑顔で言われ、私は目を丸くした。
地下?

「ああ、はい」
とりあえず返事をした私に、

「あとご主人さまのクリーニングも出来上がってきております」

翔太郎……。嘘じゃないけどまだわからないうちから、嫁がくるって伝えてあったの?
清水と呼ばれたこと、主人と言われたこと、またもや外堀から固められている気がした。

あんな完璧な人の嫁が、片手に小さなバックを持って買い物に来てよかったのかな……。
自分の格好と、フラっと買い物に出てきてしまった自分が、急に恥ずかしくなり「後で伺います」それだけを言うと、頭を下げてエレベーターへと向かった。

まあ、契約結婚だしいっか。そう自分で割り切ると、私は言われた通り地下へと降りた。
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