強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
今更自分の言葉を引っ込める訳にも行かず、私はサンドイッチを真っ白なお皿に乗せ、ただトースターで焼いただけの付け合わせのポテトと、スープを翔太郎の前に置いた。

「お口に合うかわかりませんが……」
呟くようにいった私に、翔太郎は特に何も言わずスープに手を付けた。

「うまい。料理できたんだな」
バカにされたのか、褒められたのか分からなかったが、私はとりあえずお礼だけ言うと、自分のスープに手を付けた。
両親共働きだったこともあり、私も高校生ぐらいから、家の食事は私が作っていた。

「私も食べるので、ついでです」
可愛くない言い方をした私に、翔太郎はクスッと肩を揺らすと黙々と食べ続けた。
その姿が意外で、私はつい言葉を発していた。

「こんな食べ物でもいいんですか?」
「どういう意味?」
「だって……。あなたみたいなお金持ちはもっと……。なんていうんだろう?毎日コース料理とか食べてるのかと」
嫌みともとれそうな私の言葉に、翔太郎は少し考えた後、
「まあ、ある意味あってるかもな。食べたくなかったけど」
「食べたくなかった?」

その言葉に驚いた私に、翔太郎は少し表情を曇らせただけだった。

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