強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
もう何もその事に返事はもらえないだろうと、私は判断して自分のサンドイッチを口に入れた。
あっという間に空になった翔太郎の皿に、

「あの……足りましたか?材料はあるのでまだ作れますよ?」
伺うように言った私に、翔太郎は笑顔を向けると、

「卵サンドが食べたい」
子供のような言い方に、かわいいなんて少しでも思ってしまった自分を叱咤し、本来自分はゆで卵のサンドイッチが好きだが、時間もかかるしと厚焼き玉子を焼き、マヨネーズとケッチャプで挟み翔太郎に出した。

「俺の好きな卵サンド」
その言葉に、ホッとして私はコーヒーを入れた。

コトリとコーヒーを置くと、私もぼんやりとコーヒーを飲みながら外の景色を見た。

あ、飛行機雲……。って何和んでるの!私!
この家と、この空間に何度目か和んでしまっている自分に、私は慌てて考えることをやめた。



始まったルームシェアが、なぜか普通に過ぎてしまっていることに、逆になぜか不安がよぎった。
< 67 / 218 >

この作品をシェア

pagetop