強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「ねえ、やっぱりご両親に……」
翔太郎にもう少し聞こうと声をかけながらお皿を洗っていると、後ろに体温を感じビクッと身体を揺らした。

「優里香、そんなことより俺たちは夫婦になるんだぞ」
ギュッと後ろから抱きしめられ、私はお皿を落としそうになった。

「ちょっと……え?何?離して!」
泡だらけの手の為、何もできず私は慌てた。
そして翔太郎は、そんな狼狽する私を見て、イジワルな微笑みをしていることは容易に想像できた。

なんで急に?今はご両親に事を離さないと!
そんな時にこれって!!絶対、何かごまかしてない?

ここ数日、この人を見て気づいた気がする。こういう時は何か自分を偽っているような気がした。

「ねえ、急になんですか?ごまかさないで!」
その言葉に、翔太郎は無言で私の下ろしていた髪に触れ片方に寄せると、うなじに何かが触れた気がした。

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