強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「ねえ、もう……無理……」
心臓の音がうるさいし、恥ずかしいし、泣きそうになる私の目に、翔太郎の瞳が映った。

そのまま、私の否定の言葉を飲み込むように、唇が温かく塞がれた。
「黙れ」
言葉とは裏腹に、なぜか甘く優しいキスに、私の瞳から涙が零れ落ちた。
何の涙なのか、自分でも分からなかったが、どうしてもこのキスを拒否することができず、握られた手に力を込めた。



一瞬離れた唇にホッとしたのもつかの間、くるりと翔太郎の方に向けれ、片手は腰にまわされ、もう片手は頬を固定され、さっきより深くなるキスに私は目を見開いた。

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