強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「俺はまだ仕事をするけど……」
時計を見ると22時半を過ぎていた。

「じゃあ、私は部屋に戻ります」
そう言うと、翔太郎はそっと私を抱きしめた。

「ありがとう」
急に言われたお礼の言葉に、私はどう返事をしていいか分からなかった。

腕を離され、翔太郎は私の頬にそっと触れると、「おやすみ」そう言って自分の書斎に歩いて行った。

「おやすみなさい」
後姿に呟くように言った私の言葉が、翔太郎に届いたかは分からなかった。

そして一番わからないのは、自分の気持ちかもしれない。
私は自分の部屋に戻ると、熱いシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。

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