強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「あっ、ごめんなさい!下ろして!目が覚めたから」
「もういいよ。このまま眠ってろ」
そう言って階段を上がろうとする翔太郎が、まだスーツ姿だという事に気づき、小声で翔太郎に尋ねた。

「今……何時ですか?」
「1時を回ったぐらい」
小さく息を吐いて言った翔太郎の顔を、私はそっと見上げた。

疲れた顔……。
翔太郎の顔は、いつもお通りキレイな顔だったが、青白く、目の下も血色が悪いような気がした。
私は無意識に手を伸ばし、翔太郎のメガネを外していた。

「どうした?」
その行動に驚いたように翔太郎が、私を見下ろした。

「ねえ、下ろしてください」
ジタバタと動いた私に、諦めたように翔太郎は私を下ろすとため息をついた。

「どうしたんだよ」
少し怒りを滲ませたように言った翔太郎に、私はキッと睨んだ。


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