強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
あと1メートルという所で、足を止めた私の腕を翔太郎はグイっと引っ張った。

ポスッと翔太郎の膝の上に、横向きに座らされる形になり、私はドキッとしたが、久しぶりの翔太郎の温かい腕と、胸に抱きしめられてまた涙が溢れた。

「悪い。そういうつもりで言ってないから」
私の涙をそっと指で拭うと、翔太郎は悲し気な表情を浮かべた。

「ごめんなさい……余計なことして。すごく疲れた顔をしてたから……」
泣きながら言った私を、翔太郎は優しく抱きしめた。

「ありがとう。でもお前にも無理をさせたくなかった。こんな夜中に眠っていたのを起こして、飯をつくらせるなんて」
自分勝手でイジワルだと思っていたが、やっぱり翔太郎は優しい。

「私も無理をして欲しくないです。少しでもできる事なら役に立ちたい」
呟くように言った私の言葉に、翔太郎は私の肩に顔を埋めた。


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