強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「はい?」

着替え終わって、スーツの上着を椅子に掛けると、翔太郎さんは腰を下ろした。

「本当に、お前の体調が辛い時とかは無理するなよ」

「わかってます。そういう時はきちんと言うって約束しましたよ。今日も元気です。それに私は今日土曜日でお休みですよ」
軽く睨んだ私に、翔太郎さんは小さく息を吐くと、フワリと笑った。

最近見る、このイジワルでもない、仕事の時でもないこの笑顔を見ると嬉しくなる。

「早く食べましょう」
私はコーヒーを入れて、翔太郎さんの前に座ると声をかけた。

「ああ、いただきます」
きちんと挨拶をする、当たり前のことだけど、きちんとした家で育ったんだろうと思う。

そこに、来客を知らす音がして、私は席を立った。

「あれ?今日は早いですね?」
毎日迎えにくる晃さんだと思い、インターホンを見た。

< 90 / 218 >

この作品をシェア

pagetop