【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?


それで、なんだかんだと日曜日。
俺は、大きな時計台の下で吉澤が来るのを待っていた。
途中、何人かの女に声を掛けられたけど、たりぃから全部スルー。


「ごめーん!遅れた!」

「ま、んなもんかと思った」

「何それ!酷い!」

「付き合ってやってんだから、ありがたいと思えっての」

「ははー。そうでした。ありがと」


そんな会話をしながら向かったのは、色んな小物が売ってる所謂アンティークショップというやつで。
そこで、吉澤は必死で何かを探してた。


「…なんか欲しいのあんの?」

「んー…一応ね」

「ふーん」


付き合えって言うくせに、その場では放ったらかし状態で。
俺は手持ち無沙汰のせいもあり、その辺にあった被り物を被ったり、自分で使えそうな小物を見たりしていた。


「ねー?凪月!これ!これなんかどう?」

「あ?なんだそれ?ペア?」

「そう!」


キラキラした瞳で、色違いのスワロフスキーの付いたキーホルダーを見せてくる吉澤が、あまりに必死過ぎて思わず笑みが溢れる。


「それ、誰にやんの?彼氏?」

「えー?決まってるじゃん!」

「吉澤みてぇなのと付き合えるとか、マジ尊敬」

「なによ!人のこと珍獣みたいな!」

「…ぷ…」

「笑うな!ばーか!」


こいつといると、本当に面白いと思う。
だから、悪い意味で言ったわけじゃないんだけど、怒られた。


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