【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?

これ以上は平行線になるだろうし、何より嫌われたくなかったから、俺はもう一度今来た道を戻ろうとした。


くんっ


だけど、それはシャツの後ろを引っ張られることで制される。


「…なに?」

「…」

「はぁ…マジ、分かんねぇ。陽菜さん、ほんとに分かんねぇよ…なんなの?俺にどうして欲しいの?」

「…分かんない」


そう言いながらも、俺のシャツを掴んだ手は、しっかりと固定されていて動かなかった。
それが、嬉しいとか思う自分も自分だけど…。
やっぱり、この不可解な状況は打破したい。


「陽菜さん…俺、もう『待て』が出来るような年齢じゃねぇよ?」

「……」

「…俺は陽菜さんの弟でもないし、ましてやペットでもない。だから、このまま『待て』って言うなら…今すぐこの手、離して?そしたら、もう…二度と陽菜さんのこと好きとか言わねぇし。もう、陽菜さんと一緒にいることもしねぇから…」


絞り出すような声。
こんなみっともない姿を、好きな人に見せなきゃなんないって、どんだけ不幸なんだ。

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