【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?

「……」


何も言おうとしない陽菜さんに痺れを切らして、無理やりシャツから手を引き離そうとした瞬間。


ぐいっ


体を引き寄せられて、後ろに仰け反った俺の頬の辺りに、何か柔らかいものが当たった。
それが、陽菜さんの口唇だと認識するまで、暫く時間が掛かり俺はそのままフリーズ。


「弟とか、ペットとか。何言ってくれちゃってんの?!私は一度だってあんたのことそんな風に見たことない!」

「…陽菜さん?」

「もう…ばか。ばか。ばか…凪月のばか」


後から後から溢れ零れる陽菜さんの涙。
それを掬おうと、俺はしっかりと陽菜さんを捉えた。


「うん…分かってる。俺、ばかだし…なんか…泣かせてごめん…」

「…っ。そういうのがやなの!なんで、凪月はいっつもあたしのこと甘やかすのよ?」

「それは…その…好きだから…」

「どこかどんな風にどれだけよ」


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