【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?
切迫した雰囲気はどこへやら。
今はもう、いつものように…平穏な空気に包まれている。


「てか!いい加減離してよ!」

「やだね。逃がす気ねーよ」

「凪月の癖に生意気!」

「だから、どこのガキ大将だっての」


そういう陽菜さんからは笑顔が見られるようになって、俺は心底ホッとする。


「あのさ、色々…今まで宣戦布告されたけど…それ、全部受けて立つから」

「は?」

「んで、最終的に陽菜さんの理想遥かに超えたいい男目指すから」

「…ばか」


陽菜さんは俺の言葉に顔を真っ赤にしてから、背伸びをして耳元で囁いた。


『これ以上イイ男になんないで』


それってつまりは…。


「もう、待てしなくてもいいの?」

「…う、ん…」

「何その不服そうな顔…」

「なんか、くやしいんだもん」

「大丈夫。俺忠犬だから」

「ばかでしょ」

「いまさら」


そして、頬を寄せ合って、人目も憚らずにキス。


だって。
好きな人からの命令ならば。
いくらだって聞くに決まってるでしょ?


何がなんでも、受けて立つから。



だから、これからも、分からないあなたでいて下さい。




Fin.
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