【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?

姉貴は姉貴。
陽菜さんは陽菜さん。
勿論、姉貴を散々泣かせた罰として、紘汰にはわざと先輩とは言ってやらないで呼び捨てしている。

でも、馬鹿なのかアホなのか、それとも人の言うことを聞いてないだけなのか、紘汰はそんな俺に対しても凄くフレンドリーだから…何気に困る。



「なぁ、凪月、凪月、今度の土曜、空いてる?」


年上なのに、こんなに仔犬みたいに愛想振り撒かれたら、


「…別に。用事ない」


と、言うしかない。
ていうか…。


「紘汰、姉貴とデートじゃねぇの?」

「うー!やっぱ筒抜けかよー!てか、その前に付き合って欲しいとこがあんの!」


ジタバタと騒ぐ紘汰を無視するわけにもいかず、俺ははぁ、と小さく溜息を吐いた。


「…どこ?」

「え?マジ?付き合ってくれんの?ラッキー!」


こいつ、マジで…たりぃ…。


「まだ行くとは言ってない。姉貴に会う時間…ちゃんと守れるのかよ?」


愛想のない顔で、そう言うと紘汰はくしゃりと懐っこい笑顔を浮かべて、嬉しそうに「うん!」と頷いた。
そしてそのまま、教室に一旦戻って行く。

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