【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?


陽菜さんには、友達から彼氏という方程式がないらしい。

なんでも、自分のインスピレーションを大事してるから、友達とみなした人物にはときめかないとか。


でも…。
それは、建前だと俺は思ってる。
だって、陽菜さんが一目惚れしたって言う話は聞かないし、それこそ彼氏が出来たって話も聞かない。


…俺は、姉貴と陽菜さんが親友になってからというもの、ずっと陽菜さんを見てきたから…その笑顔の裏に潜んだ本音に気付いてる。



陽菜さんは、…紘汰のことが好き。




それは、間違いない。


現に、俺は見てしまったんだ。


とある放課後。
部活上がりに、なんとなく向かった紘汰のクラスで。
紘汰の席に座り込んで泣いてる陽菜さんの横顔を…。

その時は、なんて声を掛けていいのか分からなくて、俺はそのまま踵を返して自分のクラスに戻ったんだけど。


今思えば。

あの時、無理矢理にでも陽菜さんの気持ちを吐き出させてやればよかったのに、と後悔してる。


陽菜さんが笑えば笑うほど、胸が締め付けられる。


心配なんだ。
苦しいんだ。
辛いんだ。


これは全部、俺の独りよがりな感情なのかもしれないけれど、やっぱり…好きな人にそんな風に笑って欲しくない。

< 7 / 28 >

この作品をシェア

pagetop