【短】宣戦布告なら、受けて立つけど?
いつもの場所。
学校の中庭にこそっとある温室の中。
誰も入っては来ないから、必然的に俺達のもの。
そこに、またまた紘汰と入れ違い気味に入り込んできた姉貴に、陽菜さんが声を掛けた。
「…あ。李弥だ。ねぇー?なんか紘汰が凪月を困らせてるんだけどー。あんた、ちゃんと躾なさいよねー?」
「し、躾けるって陽菜ちゃん…私そんなの…」
わたわたする姉貴の代わりに俺が答える。
「できねーし」
ぽす、とこっちにやって来た姉貴の頭に手を乗せると、姉貴はぷぅーっと風船みたいに頬を膨らました。
「なーつーき!」
「……たりぃ…」
「もう!お姉ちゃんに向かってそんなこと言わないの!」
「そうそう。お姉ちゃんにそんなこと言わないのよー」
何時までも姉貴の中じゃ、俺は子供ん時のまんまで。
それを、陽菜さんも共有してるって所が納得いかない。
「…陽菜さんは、ねぇちゃんじゃねぇし…」
ぼそり、と呟いた言葉は、アホ紘汰が鞄を持って再登場したから、そこで掻き消えた。