片思い終着駅


中庭の真ん中には、大きな木が1本植えてあり、ちょうど日陰となっていた。

先輩と並んで座る。
くっつきそうな距離感がくすぐったい。

緊張しすぎたわたしは

「岩佐ののかといいます。お手を柔らかに…」

意味がわからない言葉を言ってしまった。

「俺、戦いに連れてきたわけじゃないのに!」

そう言いながら、お腹を抱えて笑う先輩。

「俺は永田つばさ。…ってもう知ってるか笑。俺、色々あって1年留年してるから、歳は1つ上だけど同学年。だから、先輩じゃないよ。」

気になっていたことをサラッと教えてくれた。

「そうだったんですね、あまりアルバイトのしすぎは良くないですよ?本末転倒です!」

大学に入る前に、説明会で『本校では留年する人のほとんどがアルバイトにのめり込んでしまった人です。新入生はくれぐれも注意するように。』と言われていたのを思い出し、先輩に伝えた。

「アルバイトねぇ…。そういうことにしておくか。」

先輩がボソッと呟いた言葉は、わたしには聞こえなかった。


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