冷徹王子と成り代わり花嫁契約
「……パンツの裾は長めにしておくといい」
「そうさせてもらうわ」
パンプスが見えないように、くびれのある位置に上げけていたパンツを腰まで下げる。
「これを着ていろ」
エリオット王子は最後の仕上げと言わんばかりに自分の着ていたジャケットを私の肩にかけた。
ほんのり残る彼の温もりに、頬が熱くなる。
それを誤魔化すように咳払いを一つして、私は先ほどから感じていた疑問を彼にぶつけた。
「ところでこの服、どうやって用意したの?」
私の言葉に、エリオット王子はふわりと花が咲くように綺麗に笑って、答えた。
「親切な召使いが快く貸してくれたんだ」
それ以上追求すると後悔するような気がして、私は引きつる口元を隠しもせず、黙って頷いた。