冷徹王子と成り代わり花嫁契約

「……あ、あなたまさか……ろ、ロゼッタ?」


嬉しそうな泣きそうな、何とも言えない表情でそこに立つ少女は、私がロゼッタ、と呼んだ瞬間に堪らずにといった様子で抱き着いてきた。


「そうよ、あなたの妹のローズ・スカーレット!ずっと会いたかった!」

「こ、光栄です……」


育ての親以外にこんなに好意的に受け入れられた経験がないため、どうしたらいいか分からずにたじろいでいると、私の後ろでエリオット王子がくす、と笑っている微かな吐息が聞こえた。


呆気に取られてすっかり忘れていたが、私はロゼッタは暗殺されたと伝えられていたのだ。

どういうことだ、とヒールでエリオット王子の革靴を踏み付けた。


「あ!ごめんなさい、とにかく一度中に入って」


コロコロと忙しなく表情を変える愛くるしい少女に手を引かれるまま、私はかつての我が家に足を踏み入れた。


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