冷徹王子と成り代わり花嫁契約

「ねえ、ヴァローナ。聞きたいことがあるのだけど」

「私に答えられる事であれば」


私の言葉に、今まで微動だにしなかったヴァローナの表情が、一瞬陰った気がしたがすぐに瞬きによって掻き消されてしまう。


「妹の事について、答えられる範囲で教えて」

「……」


いきなり核心を突いたその質問に、ヴァローナは動揺さえ見せなかったものの、露骨に口を噤んだ。


「エリオット王子に口止めされているの?」

「……余計な事を、喋るなと、仰せつかっております」


なるほど。あの男が何を考えているのかは知らないが、私に知られたら都合の悪い事があるようだ。

最も、この従者から無理に聞き出して彼の首が飛んだりしたら大変だ。

これ以上の追及は得策ではないだろう。


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