冷徹王子と成り代わり花嫁契約

「そう。君も大方察したかと思うが、《血印の書》は次期国王となる人物の妻にあたる者の血で封印を施している。つまり、王位継承の為には君の妹のローズ・スカーレットの血が必要なはずだった」
「……それで、王位継承の為に解錠を試みたものの、開かなかった、とでも?」
「さすが、理解が早いな」
「まさか本当に!?」


まさかそんなはずがない、と思いながらも口に出した言葉が事実だったらしく、エリオット王子は面食らったように目を丸くしている。

それを口にした私も驚いていた。


「そこで、考えられる可能性は一つ。俺達が最初から、盛大な勘違いをしていたということだ」
「盛大な、勘違い……それって」


思い当たる節があるが、私はそれを認めたくはなく、眉をひそめて腕を組んだ。


「魔術を施す際にロゼッタではなく、君……イリヤ・アシュフォードの血を、誤って使ってしまった可能性だ」


私と妹は背丈も声も顔も、何もかもが似通った一卵性の双子だ。ましてや子供時代ではその判別は難しいだろう。

でもどうして。私と彼女は別々の時期にこの王宮に招かれたはず。どうしたら私と彼女を間違えるのか。
その前に、給仕の娘として王宮に呼ばれる以前に私がここに来た記憶などない。

子供時代のことだから、頼りない記憶ではあるが。

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