冷徹王子と成り代わり花嫁契約
四章 嵐の夜は踊りましょう
風もなく、からりと晴れた昼下がり。今日の分の勉強も終わり、一人でアフターヌーンティーを楽しんでいた。
傍らに控えているヴァローナは表情を変えずにじっと私の一挙一動を見ている。
観察されているようで落ち着かない気持ちになるが、それも彼の仕事なのだろうから、仕方ない。
「ねえ、ヴァローナ。この後の予定は?」
「ティータイムの後にオペラ鑑賞……の予定でしたが、急遽隣国の王子が訪問されることになったので、ロゼッタ様はどうぞご自由にお過ごしください」
私の突然の質問にも、ヴァローナは一切の動揺を見せずにすぐさま返答した。
「隣国の王子が?」
一体どういった理由で隣国の王子がこの国へと足を運ぶのだろうか。エリオット王子の友人、だとか?