儚い記憶

まるで瞬く星のように

キャバクラは、他のアルバイトに比べたら時給も高いしドリンクを貰ったり指名が入ると給料が上がるから、お客様に好かれるようにもう1人の自分の"さくら"として努力した。
一刻でもはやく今の環境から抜け出したかったため、貯金を貯める意欲がより一層私をやる気にさせてくれた。



ーーキャバクラで働き始めて数ヶ月が経つ頃には、努力の甲斐もあり指名も増えてランキング3には入れるまで登りつめた。

「さくら〜!今日なんか新しいボーイが入ってくるらしいけど聞いた?」

そう声をかけてきたのは、私よりも前から働いている明菜さんだ。
雪のような白い肌に黒いサラサラのロングヘアーがよくにあっている。
目はくっきりとした二重で、すっと高い鼻、笑うとできるえくぼが可愛い。
ここのお店ではランキング1位の実力を持つ、みんなからも一目置かれている存在だ。
私も入ったばかりの頃から、なにかと可愛がってもらっていて頼れるお姉さんみたいな存在になっている。

「え〜そうなんですか?知らなかったです」

「多分もうそろそろ来ると思う〜。他の人たちは忙しいみたいだから私が今日は仕事教えろって言われたんだよね」

ボーイとは、お店の女の子たちのサポートをしてくれる人たちのことで、ドリンクを作ってきてくれたり、お会計やお客様に頼まれたタバコなどの買い出しにも行ってくれる。
働く側としてはとても助かる存在だ。




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