プロポーズは突然に。




4部屋あるベッドルームの一室。

目の前には、キングサイズの大きなベッド。




「こっち来い」

「…はい」




馬鹿げた発言をしたのは私だから。


既に横になっている彼が誘導するように布団を捲ると、私は素直に従って隣に横たわる。




“家”という場所で男の人と夜を共にするのは初めてだ。


男の人を自分の家には上げない、私も上がらない。

これが鉄則だったから。


だってその人との関係が終わったとき、ベッドを見て私のことを思い出されたりしたら気持ちが悪いし。


私がそこにいた形跡とか、記憶とか、残したくないから。


だから所謂“そういう行為”、というのは後腐れなくて目的もハッキリしているホテルでしかしたことがない。



人間というのは単純明快な生き物だ。


目先の快楽、どうしようもない快感。

そんなちっぽけな物を欲しがり、体を求めてくる。

そして行為が終わればさっさと離れて行くのだから。

……滑稽なもの。





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