プロポーズは突然に。
無言のままカウンターテーブルを通り過ぎ、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し口を付ける。
「桃華は朝食摂らないのか?」
「いつもコーヒーだけ」
後ろから聞こえた彼の問いに振り向きもせず愛想なく答える。
ちゃんと食べろ、とか、そういう説教じみたこと言われたら面倒だな。
正直私はそういうの鬱陶しく感じる人間なんだ。
「ふーん…そうか。じゃあコーヒーメーカー勝手に使っていいから」
返ってきた返事はこれで拍子抜けしたのと少しホッとした。
「聞いてるのか?」
「ちゃんと聞いてるってば」
漸く振り向いた私と彼の視線は重なる。
彼は何故だか微笑んでいて、その理由に検討もつかなかった。