プロポーズは突然に。
ドアが閉まると、オートロックのカシャンッという音が玄関に響く。
その音に反応するようにリビングから出てきた彼は威圧感たっぷりに私を見下ろし、口角を上げながら妖艶に笑んでみせた。
「遅かったな。律に捕獲されたのか?」
「…鬱陶しい」
「俺はおまえを逃がさない。よく覚えとけ」
「そういうの面倒くさい。放っといて」
私がこんなことを言ったところで無駄だと悟った。
だってジリジリと近付いてくる彼は表情一つ崩さない。
「あと、これからは一人で歩くの禁止だ」
「は?なんで!?」
彼は当初、“お互いの生活に一切口出しをしない”と言っていた。
それは面倒な束縛を一切しないという意味だと捉えていたのに、違うということなの?
それに、忙しくて殆ど家にはいないとか言ってたくせに普通にいるし…
この人の何が嘘で何が本当なのか全く読めない。