プロポーズは突然に。
「来い」
「…痛っ」
玄関に立ち尽くす私の腕を半ば強引に掴んだ彼は、そのまま奥の部屋へと足を進めていく。
パウダールームを通り過ぎ、バスルームを通り過ぎ…
漸く彼が足を止めたのは、ベッドルームの一室だった。
中に入り扉を閉めた彼はやっと私の腕を解放してくれる。
そして、自由になると口から不満が漏れた。
「いきなり何?私お腹空いて…」
「俺から逃げようなんて考えるな」
「…」
「俺が決めたことに背くことは許さない」
「…」
「俺を受け入れた時点でおまえはもう、俺だけのものなんだから」
―――言い返したいことは溢れそうなほどある。
だけど、それを言わせないほどの彼の威圧感と…
「おまえを死ぬほど愛してる。だからもしも俺を裏切るようなことをすれば──────