プロポーズは突然に。





「大丈夫。安心して幸せになりなよ」

「……でも…」

「その気持ちを副社長に素直に言ってみなよ。絶対受け止めてくれるから」

「素直に…それ、一番苦手です」

「はは、たしかにね。でも大丈夫、大丈夫」



オーナーの“大丈夫”は、適当でも気休めでもないことを私は知ってる。


だから心の蟠りをスゥーッと取ってくれるんだ。




「“当たり前のことにこそ感謝”、でしょ?」

「…はい」

「自分のそばに誰か居てくれるのは凄く有り難いことだよ」

「…はい」

「素直になる気になった?」

「それは無理です。寒気がします」

「はは、そっかそっか。うん、桃ちゃんはそれでいいよ」



< 158 / 370 >

この作品をシェア

pagetop