プロポーズは突然に。
それから何度か出ようとしたものの、その度に行く手を阻まれ、私は大人しく湯船に浸かる他ない。
………でも本当に落ち着かない。
子供じゃあるまいし誰かと一緒にお風呂に入るなんて意味が分からない。
何とか逃げ出すチャンスはないかと、彼に視線を向けてみる。
「──…っ」
―――何気なく、本当にそれとなく視線を向けただけだった。
それなのに…彼は一瞬で私の目を奪う。
私はまた、彼から目が離せなくなっていた。
漆黒の髪からポタポタと落ちる水滴。
濡れた髪を掻き上げる仕草。
水を弾くほどに綺麗な肌。
細身なのに程よくついた筋肉。
その全てが、凄く綺麗で、凄く色っぽくて…
思わず見惚てしまう自分がいた。