プロポーズは突然に。
本音を口にした瞬間に塞がれた唇。頭のクラクラは増し、眩暈がする。
「ふっ、…んぅっ…」
谺する自分の甘い声。
バスルームという場所が、それをより響かせて耳を塞ぎたくなるけれど、沸き上がる欲情にゾクゾクしているのも事実だった。
ピチャ…、ピチャ…、と響く音が、リップ音なのか浴槽に浮かぶお湯の音なのかも判断できないほど、
というより、そんな音すら耳に入らないほど、夢中で彼のキスを受け入れた。
無意味なはずのその行為に、私は溺れていたんだ。
キスがこんなにも気持ちが良くて、心を満たしてくれるものだったなんて知らなかった。
誰も教えてくれなかったことを、味わわせてくれなかったことを、彼が教えてくれて、味わわせてくれる。
―――もう頭の中は真っ白になっていた。