プロポーズは突然に。




興奮した芽衣子に、どんな人?とか、どこで知り合ったの?とか、相手を紹介して!とか。その他諸々追及されたけれど、



「別に普通の人だよ。仕事の関係で知り合った。忙しい人だから紹介は難しいかな」



こんな風に言葉を濁すことしかできなかった。




「ひゃー…ここ最近で一番のビッグニュースだわ」

「そう?大したことじゃないよ」




驚いて目を丸くする芽衣子から目を逸らすことだってしない。

…私はそういう人間だから。




「それで?お父さんのお墓には報告しに行ったの?」

「…まだ。その内行く」

「そっかぁ。早く行きなよ?」

「ん、」

「お母さんは凄く喜んだでしょ?」

「うん、喜んでた…かな」




私は今日も揺らがない瞳で平然と嘘をつく。

大事な親友すらも欺いて。

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