プロポーズは突然に。
「わざわざ持って帰らなくても会社ですればいいのに」
「だから家の方が捗るんだって」
スーツの上着を脱ぎ、それを椅子に掛けた彼は帰ってきて早々にダイニングテーブルで仕事を始める。
こうなると夜中までずっと仕事してることもあるし…
私は観ていたDVDを一時停止して、仕事をする彼の隣に立った。
「…あのさ、ボディーガードとかいらないからやめさせてよ。鬱陶しいから」
「やめさせるつもりはない。言っただろ?俺が決めたことに背くなって」
こちらに視線を向けることなく、パソコンだけを真っ直ぐに見ている彼はキッパリとそう言い放つ。
…こっちはいつもいつも監視みたいなことされてもうウンザリなのに。
「でも、私、本当に迷惑して…」
「あと、帰ってきたらまず“おかえり”だろ?」
「…」
何も言わない私に、彼は仕事の手を止め私に視線を移す。
その射抜くような鋭い視線は本当に苦手だ。
全てを見透かされているような気持ちになって逃げたくなるから。