プロポーズは突然に。




それから暫く彼は仕事を続け、私はお気に入りのDVDをひたすら観続けた。

だけど、大好きなそれの内容も頭に入らないほど、私はただただボーッとしていた。




「こういうのが好きなんだな」




その低い声に反応するように我に返ると、いつの間にか彼は私の隣に腰を掛けていて。
その視線は大画面のテレビに注がれていた。





「…うん。好んで観るのは海外のホームコメディーばっか」

「ふーん…恋愛系は?」

「友達に付き合って観ることはあるけど…内心つまんないと思ってるから個人的には好きじゃない」

「ま、俺も同じだな」





恋愛ものの映画やドラマってどれも大体一緒で見応えがない。

男女が運命的に出逢って想い合ってるんだけど何かしら波乱があって。

お涙頂戴的な流れに持っていくくせに結局最後はハッピーエンドで綺麗に終わる。

違うでしょ、現実はもっと汚いでしょ、って心の中で悪態をつきながらエンドロールを迎える時のあの気分の悪さは計り知れない。
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