プロポーズは突然に。





「今日っ…」

「…うん」

「大切なっ…友達にっ……っく、嘘、ついた」

「…うん」

「その時はっ…罪悪感なんて全くないのにっ…後からジワジワって…っく、」





芽衣子に嘘をついた。ううん、ずっとずっとつき続けている。

一つ嘘をつくと、それを隠すためにまた一つ嘘を重ねて。

その嘘をまた隠すために更に嘘をつく。

そうやって重ね続けた嘘が何層にもなって…

いつからか平然と嘘をつける人間になってしまったんだ。

こんな醜くて酷い自分が嫌いで、嫌いで、大嫌いで。


本当は…こんな風に思いっきり泣きたいと思ってた。

だけど、泣いても何も変わらないこと知ってるから。

だから…泣かなかった。…泣けなかった。



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