プロポーズは突然に。
Ⅳ.

素直になれる場所






涙が引いた頃、ベッドルームに移動して、彼と向かい合って横になる。

やっぱり…この部屋の香りは落ち着く。




「…たくさん泣いたな」




ポツリとそう呟いた彼は、まるで子供をあやすように、私の頭を撫で続けた。


アロマライトが照らされた薄明かりの中。

そこで感じた安心感と温もり。

それをもっと、もっと、感じていたくて。

彼の背中に手を回し、服の裾をギュッと掴んだ。


それでも足りなくて…


もっと、もっと、って呆れるほどに温もりを欲しているのに全然足りなくて。

だから、







「―――ねぇ…抱いて?」




絞り出すような声で、そう、呟いたんだ。



< 213 / 370 >

この作品をシェア

pagetop