プロポーズは突然に。
それから、数日経ったある日のこと。
「今度、どこか行くか」
「え?」
何の前触れもなく、突然そう言い出したのは彼の方からだった。
あの日以来、私が気紛れを起こした日だけ二人分の食事の用意をして一緒に食べることが多くなった。
今日は正にその気紛れを起こした日、なわけだけど。
今日も彼は私の気紛れに付き合って、たくさん食べてくれている。
それも、凄く嬉しそうに。
…やっぱり悪い気はしない、かな。
「行きたいところあるか?」
「行きたいところ…」
「おまえが行きたいところならどこでもいい」
そう言われて真っ先に頭に浮かんだのは…数日前から鞄の中に入れたままの茶色い封筒の存在だった。
温泉旅行…行ってみたいな。