プロポーズは突然に。
翌朝、気怠さを感じながらも目を覚ました私は、まだ眠たい目を擦りながら考える。
………あれ、いつの間に寝たんだっけ。
あれから何度も求めて、求められて。そして意識を手放したことだけは覚えてるんだけど…
「…おはよ」
その声に引き寄せられるように、天井をボンヤリ眺めていた私は自然と顔を横に向ける。
そんな私の目に映ったのは、まだ眠たげに片目を閉じながら目を擦っている彼の姿だった。
威圧感の欠片もない、そんな無防備な姿になんだか不思議な気持ちになって、
「あ、おはよう…」
なんて、目を逸らしながらぎこちなく挨拶を交わした。
それから豪華過ぎるほどの朝食にまた驚かされ、それをまた無我夢中で食べて、また笑われて。
そして、最後にまた部屋の露天風呂を堪能して…
「楽しかったか?」
「…まぁまぁ。…ありがと」
こんな不器用すぎる感謝の言葉を伝えて旅館を後にした。