プロポーズは突然に。





「ありがとな」

「いいよ、ついでだし。まだ時間もあるし」





考えることを止めたくて、必死に洗い物をした。


さっきコーヒーを飲んだときに使ったマグカップも、
朝食を終えた彼の食器も。


全部、全部、無心に、ピカピカになったってひたすら洗っていた。




何も考えたくないから。

何も考えさせないでほしい。

だから、お願いだから…

これ以上私に何も与えないで。




それなのに────












「───今度、指輪買いに行くか」






彼もまた…残酷なまでに私を苦しめる。


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