プロポーズは突然に。
「…―――ちゃん?おーい、桃ちゃーん、」
「…っあ、え、はい?」
聞き慣れたその声にハッと顔を上げ、それを左右に動かすと視界に映ったのは優子さんと咲ちゃんだった。
私を間に挟むようにビル内のベンチに腰掛けながら昼食を食べている二人を見て、漸く今の状況を思い出す。
…そうだ、今日は三人でランチする約束してたんだ。
「どうした?すぐ店戻んなきゃだから、ボンヤリしてる暇ないよ」
「そうですよね。急ぎます」
「ん、マッハでね」
そう言うと、優子さんはおにぎりを豪快に頬張る。
それも当然で、この仕事に昼休みなんてほぼ無いに等しいから、毎日ほんの少しの空き時間で早急にお昼を済ませているのだ。
それもあり、ボーッとしていた私を見兼ねて優子さんが声を掛けてくれたらしい。