プロポーズは突然に。



あまり食欲はなかったものの、食べないと夜まで持たないからコンビニで買ってきたサンドイッチの封を開けた。




「桃華ってばセレブ旦那と喧嘩でもしたの?」

「…っ、ゴホッ…!」




そして、それを口に含んだ瞬間、咲ちゃんから唐突に投げ掛けられた問いにむせ返ってしまう。


そんな私の様子を見た咲ちゃんは、あ、図星?なんて言いながら手に持っている菓子パンをちぎっては口に運び、そして続ける。





「それで喧嘩の原因は?」

「…喧嘩なんてしてないよ」

「ふぅん、じゃあ何?」

「…」




私の胸の内なんて絶対言えるはずない。

まず弱音を吐いたり、落ち込んだ顔を他人に見せるのが大嫌いだし。

だけど、心配そうな眼差しを向けてくれる咲ちゃんにそんなことを言えるはずもなく…


なんでもないよ、と、取って付けたような笑顔を作ってそう答えた。


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