プロポーズは突然に。
最上階の部屋に着き、鍵を開ければいつも通り明るくて、玄関には綺麗に揃えられた革靴もあって。
「…ただいま」
着ていたコートを脱ぎながら、今日もまた家で仕事をしているらしい彼の後ろ姿に向かってそう言うと、彼は首だけをこちらに向けて、おかえり、って笑いながら返してくれた。
たったそれだけのこと。
こんなの全部いつも通りのことなのに。
「桃華?」
「…~っ、」
───それなのに…気付くと私は馬鹿みたいに泣いてた。