プロポーズは突然に。
『これ…欲しがってただろ?』
『これは…?』
『ほら、前に送った雑誌に載ってたやつ。向こうにいたとき買っといた』
『…』
『桃華は何を買っても“そんなのいらない”ばかりだから悩んだんだけど…』
『……いらない』
『今まで父親らしいこと何一つ出来なかったんだ。だから…』
『いらないってば!』
『頼む…最初で最後のプレゼントになるから受け取ってほしい。一つでも桃華との繋がりが欲しいんだ』
―――そのときの父の弱々しい声が、こびりついたように今でも頭から離れない。