プロポーズは突然に。
後部座席に座った途端、隣から視線を感じて顔を横に向けると、バッチリと重なる視線。
そしてまた、意味が分からないほど満面の笑みを向けられた私は困惑する他ない。
「…なに?」
「相変わらず無愛想だなぁって。笑顔向けられたら笑顔で返そうよ」
「…煩いな。放っといて」
「酷いなぁ…おねーさんの所為で俺、最近忙しいんだよ?」
トップにボリュームを持たせたエアリーな雰囲気の栗色の髪。
律くんがそれを弄りながら口にした言葉は理解し難いものだった。
「は?何で私の所為?」
「副社長様がおねーさんの為に最近さっさと退社するから?」
「私の、為……?」
「そうそう。寂しい思いさせたくないんだって」