プロポーズは突然に。




スーパーの入口でカゴを取ろうとしたとき、真横から聞こえてきたその声に顔を上げると、そこにいたのは、私と同じ歳くらいの女性だった。


だけど、暫く考えてみてもその女性が誰なのか全く思い出せず…





「すみません、どちら様…でしたっけ?」





失礼を承知で、 正直にそう聞いた。

だって、知ったかぶっちゃうと色々面倒だし。

すると、彼女は何故か薄ら笑いを浮かべながら私の耳元に近付いてくる。





「覚えてないかなぁ?中学が一緒だったんだけど」





―――耳元で囁かれたその言葉にドクン、ドクン、と心臓が跳ね返りそうになった。




< 284 / 370 >

この作品をシェア

pagetop