プロポーズは突然に。
スーパーの入口でカゴを取ろうとしたとき、真横から聞こえてきたその声に顔を上げると、そこにいたのは、私と同じ歳くらいの女性だった。
だけど、暫く考えてみてもその女性が誰なのか全く思い出せず…
「すみません、どちら様…でしたっけ?」
失礼を承知で、 正直にそう聞いた。
だって、知ったかぶっちゃうと色々面倒だし。
すると、彼女は何故か薄ら笑いを浮かべながら私の耳元に近付いてくる。
「覚えてないかなぁ?中学が一緒だったんだけど」
―――耳元で囁かれたその言葉にドクン、ドクン、と心臓が跳ね返りそうになった。