プロポーズは突然に。
「同じクラスだったユキだよ。覚えてないの?」
「あ…ごめ…」
「しょうがないかぁ、桃華はあんまり学校に来てなかったし」
「…」
「だけど、有名人だったもんね?」
「…」
私の目の前にいる全然覚えていないユキと名乗る人に、余計なことを言われる前に少しでも早くその場から逃げたかった。
適当に誤魔化してさっさとその場を去ろうと、頭ではそう思っていた。
だけど、私の手はカゴの取手部分を掴んだまま、足は地面に埋まったかのようにピクリとも動かない。
そして─────……