プロポーズは突然に。






そこからは本当に流れるように物事が進んだ。


マスコミの情報網と執念は驚くほどすごいもので、すぐに母と私の存在が割り出されてしまって。


次々と情報が流れていく中、母が“風俗嬢“という仕事をしていることも取り上げられて。


当時はそれがどんな仕事なのかは分からなかったけれど、周りの雰囲気から偏見を持たれる仕事なんだというのは理解できた。


それが私を育てるために仕方なく、とかそういう理由ならまだ良かったのかもしれない。


だけど現実は全く違い、母は収入の全てを男に貢ぐ為に使っていたらしく、そういう情報を好むマスコミの恰好の餌食となった。


そして…母や私の名前が出ることはなかったものの、白熱する報道の所為で全てが学校のみんなにも一斉に知れ渡ってしまったんだ。






周りもそのくらいの歳になると、“愛人”とか、“隠し子”がどういう意味なのかなんとなく理解することができたらしくて。


子供というのは正直で、残酷で…みんな私から離れて行き、学校でも一人ぼっちになった。






母は父の愛人で、私はそんな二人の間に生まれた子供。


母に直接聞いたことはなかったけれど、きっと二人は私が幼い頃に離婚して、父は誰か他の人と再婚して…


そんなよくある事情だろう、と思っていた私にとって、その事実は正に青天の霹靂だった。

< 294 / 370 >

この作品をシェア

pagetop